円山鍼灸「円山漢祥院」 | 日記 | 認知症の鍼灸治療

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円山鍼灸「円山漢祥院」 の日記

認知症の鍼灸治療

2017.02.16

認知症治療として効果が期待できる四神聡について紹介する。

日本の鍼灸ではあまり使われず、もったいな経穴のひとつに四神聡がある。
読んで字のごとく、頭部にある4つの経穴の事である。

この4つの経穴に鍼や灸をする事で、徘徊、幻覚、睡眠障害、認知症などの治療に効果が期待できる。
この経穴について書かれている、谷垣氏の効果が期待できる75穴という書籍より、紹介する。


古典における認知症に類する症状への鍼灸治療としては宋代の扁鵲心書に痴呆が治らず次第に精気が尽きて死ぬようなものには下腹部の関元穴に3百壮の灸をすべし。とある。

また鍼灸資生経には著者である、王執中の母親が突然泣き出して止まらなくなった時に、頭頂部の百会穴に灸をして治したとあり、悲愁の情念が強い者に灸をするのがいいと言われている。

代田文彦医師は、何も食べず、一言も発せず嫁や息子も見分けがつかなくなって主治医も痴呆の始まりではないかとあきらめかけていた80歳代の患者さんが、低タンパク症による下肢の浮腫をとる百会と失眠のお灸を一ヶ月続けただけですっかり落ち着いた。
二ヶ月目からは足三里、中かん、曲池のお灸も加えて四ヶ月後には普通の会話ができるようになった。
新聞を読み始め、半年後には鼻からチューブで栄養をとっていたのが口から普通に食事ができるようになったとある。

約20年間で脳血管性痴呆、認知症での鍼灸治療論文は53論文でていて、症例数は2341症例を分析すると
そのおよそ9割が改善し、その常用穴の一位が百会、同じ頭部の四神聡と、神庭穴が10位、11位でした。
百会穴の研究では双方向性の血圧調整作用や血液粘度改善作用などが報告されています。

四神聡に対する現代の鍼灸書の効能は次のように書かれている。

精神神経系  (頭痛 不眠 めまい 健忘 癲癇 半身不随)
その他     (尿失禁等)

不眠症
110例で治癒67例 著効35例 無効7例
方法:四神聡4カ所に針先を百会に向けて頭皮に沿って刺入 置鍼15分以上

ヒステリー性失語症
47例で四神聡と左右の合谷 太衝 に刺鍼し満足いく効果を出している (揚金安 中医臨床与保健)

認知症
中国臨床雑誌より

患者 老人性の脳血管痴呆症認知症
主要穴:頭部の四神聡 本神 神庭 水溝と後頭部の風池
配合穴:上肢の神門 後渓 下肢の足三里 太渓 後頭部の大椎
治療法:頭部のツボには皮膚面に直角ではなく、水平に刺し刺鍼後に連続波で通電刺激を45分 その他の経穴は通常刺法で45分置鍼
結果:主要症状が基本的に回復、一般の社会活動ができるレベルが6例
軽減ないしは一部消失し質問にも答えられる有効症例20症例 無変化ないし無効症例4例

位置:頭頂部の百会穴の前後左右1寸の四カ所
簡便法は、まず両耳の先端をつなぐ線と正中線の交点をみつけ、その前後左右になる。

不眠症246症例で四神聡と足三里の刺激効果を検討

河南中医学院の張らは、多施設ランダム化試験により検討した結果、不眠症には足三里より四神聡が有効だったと報告がでている。

患者:3医療機関の外来患者267例 一ヶ月以上の不眠症状 年齢18歳~65歳をランダムに四神聡群と足三里群に分けた。

治療法:四神聡群は針先を百会穴に向けて斜刺(15度~25度)0、5寸
足三里群では、左右に直刺1、5寸
両群とも、得気後に置鍼30分 一日5回 週5日 休息は2日 1クール5回 3クール治療

結果:脱落者がでて、最終的に四神聡124例 足三里122例になったが、結果、四神聡群では臨床的回復79例、著効15例 有効8例 無効22例
足三里群 臨床的回復63例 著効11例 有効8例 無効40例

効果は四神聡が高いと言える。

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